FXでは、為替チャートの数値を設定して、自動取引が可能です。
そして、FXでは自動で取引することを「自動売買」といいます。
自動売買の呼び方は、「EA(Expert Adviser)」「システムトレード」とも呼ばれます。
自動売買とは、具体的にどのような内容になっているのでしょうか。
今回は、FX取引を自動化にする「自動売買」について解説していきます。
▼Contents
FXの自動売買とは設定した数値で自動取引をおこなうこと
自動売買とは、為替レートやテクニカル指標の数値を設定して自動でおこなう取引です。
そのため、自動売買を使用すればFXに関する知識がない状態でも、利益を得られる可能性があります。
テクニカル指標とは?
テクニカル指標は、為替の価格や出来高をグラフ化したチャートです。
たとえば、テクニカル指標の1つの移動平均線は、過去5日間に変動した為替の数値を棒グラフで表示できます。
テクニカル指標は、相場の流れを把握可能な「トレンド系指標」
買われすぎや売られすぎを判断する「オシレータ系指標」があります。
FXの為替チャートでは、すべて数値化が可能です。
そのため、数値設定をしておけば為替の動きに合わせて、自動で為替通貨の売買が可能になります。
たとえば、買われすぎ売られすぎを判断する「オシレータ系指標」で数値を設定したとします。
「オシレータ系指標」では、0〜100の数字の間で、現在通貨が買われすぎか売られすぎか判断可能です。
買われすぎは、数字が70以上の場合は買われすぎと判断できます。
加えて、売られすぎは数字が30以下の場合は売られすぎと判断できます。
そのため、自動売買の設定で「数値が30以下になったら買い取引をおこなう」と設定した場合は、数値が30以下になった時点で買い取引開始です。
自動売買は、設定したルールを数値に合わせて、自動取引をおこなっていると覚えておきましょう。
FXの取引は「自動売買取引」と「裁量取引」の2つに分けられる
FXの取引は、主に2種類に分けられます。
FXの主な取引方法は「自動売買取引」と「裁量取引」です。
裁量取引とは?
裁量取引は、取引する人の判断でFX取引をおこなうことです。
そのため、自身で為替チャートを分析して、通貨を買うべきか売るべきか判断する取引を「裁量取引」といいます。
加えて「裁量取引」は、FXの基本的な取引です。
「自動売買」では「裁量取引」の知識を数値化して、数値を設定をおこなうと「自動売買取引」となります。
自動売買の種類は「開発型」と「選択型」の2つに分けられる
FX自動売買の種類には、主に2つの種類があります。
結論からいうと、自動売買の種類は自身で作成する「開発型」と、すでに自動売買が作成された「選択型」です。
自動売買は、なぜ2つの種類があるのか解説していきます。
「開発型」はプログラミング言語を使用して設定する自動売買
自動売買の「開発型」は、プログラミング言語を使用して自身で自動売買を作成します。
そのため、自動売買を開発するには、プログラミングの知識が必要です。
「開発型自動売買」は「MT4(メタトレーダー4)」にプログラミング言語を使用して作成します。
MT4(メタトレーダー4)とは?
MT4は、ロシアのMetaQuotes Software(メタクオーツ・ソフトウェア社)が開発した取引ツールです。
MT4は、FX以外の取引にも対応しています、
しかし、基本的にはFX取引をおこなうための取引ツールです。
加えて、MT4はMT4に対応したFX証券会社のみ利用できます。
自動売買を自身で開発するためには、プログラミング言語とMT4が必要になります。
しかし「開発型」は、自身で作成するため自分なりの取引ルール設定が可能です。
開発された自動売買は、MT4にプログラミングが設定されていると認識しておきましょう。
「選択型」は元々備え付けられているプログラムで設定する自動売買
自動売買の「選択型」は、元々プログラムを設定されている自動売買です。
そのため、すでに作成されている自動売買を選択して、自動取引をおこないます。
「選択型自動売買」は、国内証券会社でもシステムトレードとしてサービスの利用が可能です。
国内証券会社の自動売買は、以下の通りです。
証券会社 | 自動売買名 |
---|---|
みんなのFX | |
外為オンライン | |
インヴァスト証券 |
自動売買サービスがある証券会社では、すでにルール化されている自動売買が無料で利用できます。
そのため、FXに知識がない人でも利益を得られる可能性がある仕組みです。
すでに自動売買を利用したい方は、証券会社の自動売買の選択を検討しましょう。
自動売買プログラムの種類は主に3つ
FXの自動売買プログラムには、主に3つの種類があります。
自動売買は、プログラムによって異なる取引方法が可能だからです。
以下では、各プログラムの特徴を解説していきます。
自動売買プログラムは、主に以下の3つです。
- リピート型
- トレーダー型
- プログラム型
「リピート型」は通貨ペアの取引を繰り返しておこなうプログラム
自動売買プログラムの1つには「リピート型」があります。
「リピート型」では、設定した通貨ペアの取引を繰り返しておこなうプログラムです。
FXでは、さまざまな通貨ペアを使用して取引がおこなえます。
USD/JPYに対して、新規注文と決済注文を設定をおこなうとします。
たとえば、USD/JPYに対して新規注文で「105.000円になったら買い」と設定した場合は「105.000円」になった瞬間に買い取引が開始されます。
加えて、決済注文で「105.700円になったら売り」と設定した場合は「105.700円」になった瞬間に取引が終了されます。
「リピート型」では、1つの通貨を繰り返して自動取引可能です。
そのため、1つの通貨ペアを繰り返しておこなう取引は「リピート型」だと認識しておきましょう。
「トレーダー型」はFXトレーダーの取引をそのままおこなうプログラム
自動売買プログラムの「トレーダー型」は、FXトレーダーと同じ取引をおこなえます。
そのため、為替相場が急変したときにも対応可能です。
ただ、FXの為替相場は毎回同じ動きをするとは限りません。
「トレーダー型」では、FXトレーダーの手法が為替に合わなくなると、損失になる可能性があります。
FXでは、自動売買を利用していても損失になる可能性は発生しているため注意しましょう。
「プログラム型」は自身プログラムを設定しておこなう
自動売買プログラムの「プログラム型」は、自身で作成した設定で取引をおこなう自動売買です。
「プログラム型」では、自身で設定したルール以外の取引はおこなわれません。
たとえば「EUR/USDが現在の数値から3pips上昇したときに売り」と設定した場合は、EUR/USDに対して売り取引が可能です。
加えて「取引開始した地点から10pips下落したときに利益確定」と設定した場合は、10pips下落した地点で取引が終了されます。
上記で使用した「pips」は、別の記事で説明しています。
「pips」は、FX取引をおこなう上で必要な知識の1つのため、覚えておきましょう。
自動売買取引をおこなうメリット
自動売買取引では、FXの取引に関する専門知識がなくても、利益を得られる可能性があります。
しかし、自動売買をおこなうメリットは1つだけではありません。
自動売買のメリットは、他にどのようなメリットがあるのでしょうか。
自動売買を利用するメリットは、以下の通りです。
- 長時間為替チャートを見なくても「利益確定」「損切り」が可能
- 一定期間に「自動売買」の利益率を得られる可能せいがある
- 複利効果で雪だるま式に利益を得られる
長時間為替チャートを見なくても「利益確定」「損切り」が可能
FX取引は、取引開始後は常に損益が変動するため、長時間為替チャートを見る必要があります。
しかし、自動売買では「取引開始から取引終了」まで自動取引設定が可能です。
そのため、自動売買取引を利用している場合は、長時間為替チャートをみなくても「利益確定」「損切り」が自動でおこなわれます。
ただ、一度も為替チャートや取引状況を見なくてもいいわけではありません。
FXでは、損失になる可能性も発生しているため、自動売買を利用していても損失に注意しなければいけません。
FXの「損切り」に関しては、別の記事で解説しています。
FX取引で損失が拡大したときは、何が起きてしまうのか把握しておきましょう。
一定期間に「自動売買」の利益率を得られる可能性がある
「自動売買」では、自動で取引をおこないます。
そのため、一定の期間で得られている利益率で、得られる利益の計算が予測可能です。
自動売買の利益率計算方法は、以下の通りです。
「100,000円×0.1=10,000円」
たとえば、1ヶ月で平均10%の利益率を得られる「自動売買」の場合は、資金に対して10%の利益を得られます。
そのため、運用資金が10万円の場合は、1ヶ月に10万円に対して10%の「1万円の利益」が獲得可能です。
FXの自動売買は、一定期間で得られている利益率が計算可能です。
そのため自動売買を利用するときは、利益率に注目して利用を検討しましょう。
複利効果で雪だるま式に利益を得られる
FXの自動売買では、前述したように一定期間に利益を得られる可能性があります。
加えて、FXでは取引で得た利益を次の取引にも加えて取引可能です。
上記の仕組みは、複利効果と言われます。
複利効果とは?
複利効果は、運用で得た利益を再び投資して利益を得る効果です。
そのため、利益を得て残高が増えれば増えるほど、得られる利益も増えていきます。
たとえば、前回の自動売買取引で10万円から10%の利益率を得た場合は、次は11万円に対しての10%の利益を得られます。
11万円に対しての10%は、11,000円のため10万円で運用した利益より1,000円増えています。
複利効果では、長期間運用すれば得られる利益が徐々に増えていくのです。
たとえば、利益率10%で半年間運用した場合は、以下の通りになります。
「残高×10%=利益」
1ヶ月目「100,000円×0.1=10,000円」
2ヶ月目「110,000円×0.1=11,000円」
3ヶ月目「121,000円×0.1=12,100円」
4ヶ月目「133,100円×0.1=13,310円」
5ヶ月目「146,410円×0.1=14,641円」
6ヶ月目「161,051円×0.1=16,105円」
1ヶ月目の利益は、100,000円に対して10%の10,000円です。
しかし、複利効果で半年間運用し続けた場合は、1ヶ月目より6,105円増えた利益を獲得できています。
複利効果は、利益率が同じ10%でも残高が増えると利益も増える仕組みです。
複利効果は、長期間運用し続ければ得られる利益も増えていく仕組みと覚えておきましょう。
自動売買取引をおこなうデメリット
FX取引の自動売買では、デメリットも存在します。
そのため、自動売買の利用を検討されている方は、事前に自動売買のデメリットを把握しておきましょう。
自動売買をおこなうデメリットは、以下の通りです。
- 為替が想定外の動きをしたとき対応できない可能性がある
- 自身で自動売買を開発するにはプログラミングの知識が必要
- 自動取引のためFXトレードの知識が覚えづらい
為替が想定外の動きをしたときは対応できない可能性がある
自動売買で取引しているときは、為替の急な変動に対応できない可能性があります。
なぜなら、自動売買は数値を設定して取引しているためです。
たとえば、現在1ドル110.000円のUSD/JPYに対して買い取引をおこなっているとします。
加えて、自動売買での損切り注文の設定は、109.500円です。
しかし、為替相場が一気に下落して109.000円まで下落したとします。
急な下落をした場合は、設定した109.500円での損切り注文が間に合わない可能性があるため注意しましょう。
ただ、為替の急変動は予測していた方向へ動く可能性もあります。
たとえば、現在1ドル110.000円のUSD/JPYに対して、買い取引をおこなっているとします。
加えて、自動売買での利益確定注文の設定は、111.000円です。
そして、為替相場が一気に上昇して111.100円まで上昇したとします。
利益確定注文の設定を超えた場合は、設定した111.000円を超えて利益確定がおこなわれます。
為替の急な変動は、起きないとは限りません。
そのため、自動売買を利用するときは、急な変動に対応できない可能性があるのを踏まえた上で利用を検討しましょう。
自身で自動売買を開発するにはプログラミングの知識が必要
自動売買を開発するためには、プログラミングの知識が必要です。
そのため、自動売買の設定を自身で設定にしたくても、プログラミング知識がなければ開発できません。
たとえば、EUR/USDの通貨ペアに対して「オシレータ系指標」で数値の設定を組み込みたいとします。
しかし、組み込みたい内容をプログラミング言語に変換してMT4に組み込まなければいけません。
そして、プログラミングでは特殊なコードを覚える必要があります。
自身で自動売買を開発する場合は、プログライミングの知識が必要と覚えておきましょう。
「選択型」のFXトレードの知識が覚えづらい
「選択型」の自動売買は、すでにプログラミングが組み込まれています。
そのため、すでに作成されている自動売買を利用する場合は、FXトレードの知識が覚えづらいです。
なぜなら、どのような数値で設定されているか、実際に利用していてもわからない場合があります。
一方「開発型」の自動売買は、すでにFX取引の知識を持っている人が、作成している自動売買です。
そのため、設定している数値の根拠も、把握した上で作成しています。
「選択型」の自動売買では、自動売買1つでFX取引の知識がすべて覚えられるとは限りません。
FXの知識をつけたい場合は、個人的にもFXを勉強しながら自動売買の利用を検討しましょう。
まとめ
今回は、FXの「自動売買」について解説しました。
今回の記事をまとめると、以下の通りです。
- FXの取引方法は「自動売買取引・裁量取引」の2つ
- 自動売買の種類は「開発型・選択型」の2つ
- 自動売買プログラムは「リピート型・トレーダー型・プログラム型」の3つ
- 自動売買のメリットは取引の時間が取られず複利運用可能
- 自動売買のデメリットは急な変動に対応できない可能性がある
元々作成された自動売買は、自動売買の作成や取引の時間を使用せずに、利益を得られる可能性があります。
しかし、自身で自動売買を開発するためにはプログラミングの知識が必要と覚えておきましょう。