FX基礎知識

FXの【損切り】とは?損切りの意味と役割について解説

FX取引では、損失の状態で決済することを損切りといいます。

そのため、損切りをおこなう場合は損失分の金額が残高から引かれます。

はじめて損切りをおこなうときは「損切りしてマイナスになるなら、損切りせず利益になるまで待とう。」など思うかもしれません。

FX取引では、なぜ損切りをするのかというと損失状態のポジションを決済して「損失の拡大を防ぐため」です。

FXでは「損切りというリスク管理について」意識を向けることが重要です。

当記事では、損切りをする意味と損切りの役割について解説していきます。

\YouTubeでも「損切り」について解説しています/

損切りは損失を拡大させないための重要な手法

損切りは、自ら損失を確定して損失を拡大させないためにおこないます。

なぜなら、FX取引では運用資金をすべて失う可能性が発生しているからです。

そのため、損失が拡大する前に利益になる見込みがないポジションは、損切りしなければいけません。

損失が拡大した場合は、以下の状態になる可能性があります。

強制ロスカット 証券会社から強制的に損切りをされる。
塩漬け 損失が拡大して損切りをしたくてもできない状態。

FX取引では、上記の状態になる可能性が発生しています。

損失になったときは、どのようなことになるか把握しておきましょう。

損失拡大し続けると強制ロスカット対象になる


FXでは、損失が拡大し続けると「強制ロスカット」の対象になります。

FXでは、損失が拡大し続けると、残りの保証金(取引可能金額)も少なくなっていきます。

そのため、損失が拡大し続けて保証金もなくなってしまった場合は強制ロスカット対象になります。

「強制ロスカットがある理由」

FX証券会社に入金した金額以上の損失を出さないためです。

たとえば3万円入金でFX取引を開始した場合は、3万円の損失が出た段階で強制ロスカット対象になります。

FXは、証券会社からレバレッジをかけて利益を得る仕組みです。

レバレッジをかけるとは、少ない運用資金でも利益を得られるようにする仕組みです。

そのため、証券会社はFX取引する方にお金を一時的に貸している状態です。

強制ロスカットは、貸しているお金の損失を出さないために強制ロスカットが存在します。

しかし、為替の状況によって強制ロスカットが間に合わない場合があります。

FX取引をおこなうときは、強制ロスカットに注意して取引しましょう。

レバレッジに関しては、以下の記事で解説しています。

FXの【レバレッジ】とは?FXのレバレッジは手元にある資金以上の取引が可能になるFXは、少額の資金からでも取引できます。 なぜなら、FXでは「レバレッジ」をかけて取引が可能だからです。 FXでは、FX証券...

塩漬け状態になると損失額が拡大しているため損切りできなくなる

FXでは、損失が拡大して損切りもできない状況は塩漬け状態といいます。

そのため、塩漬け状態になると損失が軽減するまで長期的に待たなければいけません。

「塩漬け」とは?

塩漬けは、野菜など長期保存する意味と同じで、損失状態の取引を長期保存する意味です。

塩漬け状態になっている状態の取引が、運用資金に近い状態で損切りをすると、ほとんどの資金を失ってしまいます。

そのため、塩漬け状態になった場合は、以下2つの選択をしなければいけません。

  • 損失が軽減されるまで取引を継続する。
  • 現在より損失が拡大する前に損切りをする。

損切りを選択するのは、為替の状況によって判断が異なります。

そのため、塩漬け状態になった場合は、為替の状況から判断をおこないましょう。

塩漬け状態になってしまう流れは、以下のような流れです。

「塩漬け状態になってしまう流れ」

  1. 入金額10万円でFX取引開始。
  2. 取引開始後1時間後に、含み損5万円に到達。
  3. 含み損が軽減すると判断して取引を継続。
  4. 取引開始後2時間後に、含み損7万円に到達。
  5. 損切りしてしまうと、残高3万円になってしまう。
  6. 損切りもできない状態になる。
  7. 保有したポジションが塩漬け状態になる。

上記で説明した内容の場合は、損切りをおこなうと残高3万円になります。

含み損の状態は、損失が拡大すると残り取引可能金額も少なくなる状態です。

損失が拡大すると思った場合は、損失拡大する前に損切りを検討しましょう。

損切りとロスカットの違いについて

FX取引で損失を確定する言葉には、損切りとロスカットが使用されます。

損切りとロスカットは、以下の場合に使い分けられています。

損切り 自ら損失を確定すること。
ロスカット 証券会社が損失を確定すること。

自ら損失を確定したときは、損切りです。

FX取引は、取引を終了(決済)する時は、自らのタイミングでしなければいけません。

そのため、自ら損失を確定しなければ、損失が拡大していく可能性があるからです。

ロスカットは、証券会社が強制的に損失を確定したときに使用されます。

ロスカットは、投資者を保護するために「金融先物取引業務取扱規則第25条の3」によって定められています。

そのため、トレーダーの運用資金に対して抱えている損失が同じ数値になると、強制的にロスカットされます。

そして、強制ロスカットが発動すると取引中のすべての通貨も強制終了され、残高は0円にリセットされます。

損切りする理由は、強制ロスカットを避けるためです。

FX取引するときは、強制ロスカットされるために損切りをおこないましょう。

損切りは自動で損切り設定ができるストップロスの設定が可能

ストップロスは、MT4(Meta Trader4)で自分で損切りの数値設定が可能です。

MT4とは、ロシアのMetaQuotesSoftware(メタクオーツ・ソフトウェア)社が開発した、取引ツールです。

MT4では、FX証券会社を登録してからMT4にサインインすると、ストップロスの設定ができます。

ストップロスは、損切りの数値設定ができます。

テイクプロフィットは、利益確定の数値設定が可能です。

以下の画像は、ドル円(USD/JPY)の数値が108.879のときに、「買い」で取引をおこなう前のMT4の画面です。

ストップロスの設定数値は「108.779」です。

テイクプロフィットの設定数値は「108.979」です。

上記の数値設定の場合は、ドル円の数値が「108.879」から「108.779」まで下降すると、自動で損切りがおこなわれます。

また、ドル円が「108.879」から「108.979」まで上昇すると、自動で利益確定がおこなわれます。

加えて「ストップロス・テイクプロフィット」どちらか1つのみの設定も可能です。

自分自身で利益確定をしたい方は、損切りするためのストップロスだけの設定をしましょう。

証券会社から強制的に損切りされるロスカットの発動条件

ロスカットは、証拠金維持率が下回ったときに、ロスカットが発動する仕組みです。

そのため、強制ロスカットとも言われます。

ロスカットの発動条件は、証券会社が設定した証拠金維持率によって異なります。

証拠金維持率は、取引中の通貨を維持するために必要な証拠金の割合です。

国内証券会社の必要な証拠金維持率は、以下の内容です。

証券会社名 必要証拠金維持率
GMOクリック証券・FXネオ取引 100%以下=新規取引できません。
50%以下=強制ロスカット発動
DMMFX 50%以下=強制ロスカット発動
ヒロセ通商 100%以下=強制ロスカット発動
LINE FX 100%以下=強制ロスカット発動
SBI FXトレード 50%以下=強制ロスカット発動

国内の証券会社では、100%以下からロスカットの対象となります。

そのため、FX取引をするときは、証拠金維持率の意識が必要です。

FX取引をする時は、証拠金維持率に注意して取引をおこないましょう。

損切りができる人の特徴3つ

FX取引で、損切りができる人には特徴があります。

FXでは、損切りをする前に以下のような考えを持ってしまう方も、いるのではないでしょうか。

  • 損切りせずに待っておけば、利益になっていたかもしれないと考えてしまう。
  • 損切りした後に、為替の変動が変わって利益になっていた経験がある。
  • 損切りして資金がなくなってきてるため、損切りしたくない。

上記の内容は、すべて自分自身の気持ちを優先しているとも捉えられます。

FX取引では、欲や感情によって取引をおこなうと利益には繋がりません。

自分自身の気持ちを優先してしまう場合は、設定した取引のルールも無視することになります。

FX取引では、感情で判断を変えないことが重要です。

取引のルールを決めた場合は、ルールに従って取引をおこないましょう。

以下では、損切りできる人の特徴を以下3つにまとめてみました。

  • 取引に執着しすぎない
  • 判断と選択したことを後悔しない
  • 損切りをFX取引全体のマイナスだと思わない

損失の状態になっている取引に執着しすぎない

FX取引で、保有している取引が損失の状態でも、執着しすぎると損切ができません。

損失になっている取引に対して「まだ粘ると利益になるかもしれない。」と執着してしまうと、取引終了がしづらくなるからです。

為替は変動し続けるため、為替の動き次第では利益の状態になる可能性もあります。

しかし、為替の動きによって、予測と逆に変動していく可能性も発生しています。

そのため損切りをする選択肢がないと、1つの取引ですべての資金がゼロになってしまう可能性があるからです。

保有している取引の損失額が、運用資金に近くなる前に、損切りする選択肢を持っておきましょう。

自ら選択した判断の結果が悪くても後悔しない

自ら選択した判断の結果が悪くても、後悔しないことがFX取引では重要です。

損切りをしたあとに、損切りしていなかったら利益にっていた可能性もあります。

しかし自ら選択した判断に対して、後悔してしまうと次の取引で損切りの判断ができません。

FX取引では、利益を確定するだけでは利益を得られません。

損失を確定する必要もあるからです。

強制ロスカットの対象になってしまったときは、損切りしておけばよかったと後悔するかもしれません。

毎回の取引に対して後悔してしまうと、次の判断ができなくなってしまいます。

自ら選択した判断は自信をもちましょう。

自ら選択した損切りをマイナスだと思わない

FX取引で損切りをすると、資金が減ってしまうためマイナスになります。

しかし、自ら損失を防ぐために損切りをおこないます。

損失拡大を防げた場合は、マイナスではありません。

強制ロスカットを防いで運用資金がゼロにならなければ、継続して取引が可能だからです。

運用資金が残っている状態であれば、損切りで失った分も取り返せる可能性があります。

そのため損切りに対して、マイナスと思ってしまうと損切りの判断ができません。

FX取引でマイナスと言えるのは、再入金しないと取引できなくなる強制ロスカットです。

損切りしないことが、運用資金を守るための判断ではありません。

損切りすることで、強制ロスカットを防ぐことが可能です。

FX取引で損しないための注意点3つ

FX取引で損をしないためには、どのような部分に意識を向けると回避できるのでしょうか。

FXのような為替取引では、常に価格が変動していて、動きに規則性はありません。

不規則な動きをするため、取引をする上で注意する点を4つ説明します。

FX取引で注意するべき点は、以下の3つです。

  • 利益確定と損切りのルールを設定する。
  • FX取引のルールを定期的に見なおす。
  • 残り取引可能あ余剰証拠金を減らさずに取引をおこなう。

利益確定と損切りのルールを設定する

FX取引をおこなう前に、利益確定の数値と損切りの数値を設定するのは、非常に重要です。

運用している資金などによって、ルールの設定も変更できるため断定はできません。

FXトレーダーがおこなっている損切りルールを、以下にまとめてみました。

「損切りルールの例」

1.運用資金10万円で10%の設定した場合は、1万円の損失状態のときに、利益確定か損切りをおこなう。
(含み損が運用資金の1/10以上になる前に損切りをする)

2.取引開始した数値から、50ポイント離れた地点で、利益確定か損切りをする。

上記のような設定が基本的なルール設定です。

FX取引では、取引の数量(ロット数)によって、金額の数字が変わります。

そのため、個人によって変わってきます。

FX取引のルールは、必ず決めなければいけないものではありません。

しかし、状況に合わせる取引か、ルールを設定して取引するかはトレーダーの判断です。

FX取引のルールを定期的に見なおす

FX取引のルールは、定期的に見なおす必要があります。

為替は規則的な動きではなく、流行などにより不規則に変動します。

なぜなら、流行している通貨が時期によって変わるからです。

そのため、同じルールを継続すると、流行に乗れていないときは損失が膨らんでしまいます。

また、損切り等のルールを設定していなければ、予測と逆方向に動き続けてロスカット対象の可能性があります。

FX取引をおこなうときは、どの地点で取引終了するかを決めるルールも必要です。

設定したルールは、継続するのではなく、為替の流行によって変更する必要があります。

一度設定したルールを試して、利益が得られない状況になった場合は、ルールを見直してみましょう。

残り取引可能な余剰証拠金を減らさず取引する

FX取引では、余剰証拠金によって、残り取引可能な金額がわかります。

余剰証拠金とは、FX取引で残り何円取引に使用できるかを表す数値です。

たとえば、FX証券会社に10万円入金していた場合、余剰証拠金は10万円です。

ただ、取引をおこなうときは、残りの余剰証拠金は数値が変わっています。

FX取引をおこなっていて、抱えている損失が2万円だった場合は、余剰証拠金は8万円です。

FX取引では、余剰証拠金が0に近づくほどロスカットの危険性も上がります。

そのため、余剰証拠金には、余裕を持たせて取引をおこなわなければなりません。

まとめ

今回は、損切りについてまとめました。

今回の記事をまとめると、以下になります。

まとめ
  • 損切りをおこなう理由は損失拡大を防ぐため。
  • 強制ロスカット対象になる前に損切りをする。
  • 損切りしたことに対して後悔をしない。

自ら損失を確定するのは、損切りといいます。

証券会社から損失を確定するのは、ロスカットといいます。

損失を自分で数値を決めてストップするのが、ストップロス。

損失を強制的にカットされるのが、ロスカットになります。

レバレッジによって、変動する金額が大きくなるのではなく、ロット数の取引数量によって変動してくる金額も変わってきます。

損切りをするときは、どれくらいの変動で、どれくらいの金額が動くのかを知っておかなければなりません。

FX取引をする際は、ロット数によってどれくらい変動するのか、把握しておきましょう。