FX基礎知識

FXの【スリッページ】とは?意味と解決策を紹介

スリッページ アイキャッチ

FX取引をしていると「約定ボタンを押したはずなのに、ズレている」という経験をしている人もいると思います。このズレを「スリッページ」と言います。

スリッページにより損をしてしまったり、逆に得をした人もいるでしょう。しかし、トレード回数の多い手法を扱う場合は、損益に関わることにもなるためしっかりとした対策をする必要があります。

まだFX経験のない方でも、今後取引していく上で約定のズレは経験するでしょう。今回の記事ではスリッページの意味と解決策について解説します。

スリッページとは

FXにおいて「スリッページ」とは、発注・決済を行った際の価格と実際に約定した(注文が確定した)ときのズレを指します。

トレーダーの間では、「滑る」「スリップする」と表現する人もいます。短期的な為替変動や価格の急な動きを狙った取引を行う人には、避けることはできない言葉です。

スリッページ画像
  1. 105.10円のときに注文
  2. 為替レートが動き、実際に約定したのは105.09円
  3. 1pipsのスリッページが発生

上記の場合、実際に約定したのは105.09円になるため、1pipsのスリッページが発生となります。

スリッページは見逃しがち

FX取引ではFX会社の公表している「スプレッド」に目が行きやすく、スリッページに対しての考慮が足りなくなりがちです。

スプレット幅の狭い有能なFX会社でも、スリッページが発生すればスプレッドが広いのと変わりません。

またスリッページがどれくらい滑るかは、経験の豊富なトレーダーでも掴むことは容易ではないです。そのため、事前にスリッページの知識を覚えておき、対策しておく必要があります。

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スリッページが起こる2つの原因

  • 荒れている相場・動かない相場で起きやすい
  • FX会社の約定力が低いと起こる

FX会社によってシステム強度やカバー先金融機関の数が異なるため、約定力の低いFX会社だとスリッページが起きやすいです。

荒れている相場・動かない相場はスリッページが起きやすいですが、具体的にどのような相場でしょうか?次の項目で解説します。

荒れている相場・動かない相場で起きやすい

FX取引でスリッページが起きやすい原因として、値動きの激しい荒れている相場・市場参加者の少ない動かない相場が挙げられます。

荒れている相場(相場の急変時)の例は以下です。

  • 要人による重大な発言
  • 経済指標の発表
  • ○○ショックなどの暴落・暴騰

上記のような場合、買い注文だけ・売り注文だけの相場が続く状態になるため、為替レートの値動きが一方的なことが続きます。そのため、スリッページが発生しやすくなります。

市場参加者の少ない相場というのは、買い・売り注文が少ない状況を指します。日本時間の早朝(朝5時〜8時)はFX取引の注文が少なくなるため、動きが少なくスリッページが発生しやすいです。

特に初心者のうちは、荒れている相場・動かない相場は避けて取引すると良いでしょう。

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FX会社の約定力が低いと起こる

サーバー強度やカバー先金融機関の多さでFX会社の約定力は変わります。

FXは証券会社のシステムを通して注文を行なうため、注文の殺到した際はスリッページが起こりやすいです。

またFX会社は注文を受けると、同じ注文を銀行や証券会社に出すことでリスクを減らしています。そのため、取引のカバー先金融機関が多いと顧客からの注文が約定拒否・スリッページすることが起こりにくいです。

FX取引を行う際は、システム強度の強く・カバー先金融機関の多いFX会社を選ぶと良いでしょう。

スリッページ起こさないための対策2つ

  • カバー先金融機関の多いFX会社を選ぶ
  • 許容スリッページを設定する

FX取引では「許容スリッページ」というものでスリッページを軽減することが可能です。

許容スリッページを設定することで、想定外のレートでの約定がなくなるため設定しましょう。

またFX取引はカバー先金融機関が多いとスリッページを起こしにくいため、事前にカバー先金融機関数を調べておくことで防げます

ではFX会社のカバー先金融機関はどれくらいの数があるのでしょうか?次の項目で紹介します。

カバー先金融機関の多いFX会社を選ぶ

みんなのFX 11社
外貨ex byGMO 27社
DMM FX 13社
外為
どっとコム
24社
ヒロセ通商 22社
セントラル
短資FX
20社
GMO
クリック証券
19社
SBI FX
トレード
2社

YJ FXはカバー先金融機関が27社あり、国内FX会社の中ではトップクラスに多いです。そのため、スリッページが起こりにくく安定した取引を行うことができます。

SBI FX トレードは2社とカバー先金融機関が少ないですが、カバー先には親会社のグループ会社があります。

グループ会社ではさらに多くの金融機関とカバー取引を行なっているため、少ない数でも約定力が高いFX会社です。

許容スリッページを設定する

FX取引でスリッページを軽減するための対策として、「許容スリッページ」を設定する方法があります。

許容スリッページを設定することにより、滑ることで起こる利益が減るリスクを抑えることが可能です。

しかし、あまり狭く設定しすぎると相場の急変時に約定しない場合もあるため、取引方法に合わせて設定する必要があります。

約定重視の取引はスリッページを広く設定し、利益重視の場合はスリッページを狭くするなど使い分けると良いでしょう。

米ドル/円=105.100円の時に許容スリッページを10pipsで設定すると
105.000円〜105.200円が約定範囲となり、範囲外の場合は約定しません。

まとめ

今回の記事ではスリッページについてまとめました。

スリッページとは、取引の注文をした時と実際に約定した時のズレのことを指します。

FXのスリッページは荒れている相場・動かない相場で起きやすいです。また、約定力の低いFX会社でも起こりやすいため対策が必要です。

スリッページはカバー先金融機関の多いFX会社を選択すると、約定力が高くなるため滑りにくくなります。

FX会社を選ぶ以外にも、許容スリッページを事前に設定しておくことで軽減することも可能です。スリッページを減らし、ストレスの無い取引を行いましょう。