FX過去の暴落・暴騰

【FX暴落・暴騰】世界的に震撼があったFXの大損事例1998年〜2008年版

1998〜2008ショック アイキャッチ

FX(外国為替証拠金取引)は、他国の通貨同士を交換する投資です。

他国の通貨も関係してくるため、世界の経済が為替相場に大きく影響する場合もあります。

今回の記事では、FXの為替相場に関係する1998年から2008年までの大きな暴落・暴騰を解説します。

【FX暴落・暴騰】1998年ロシア危機

  • モラトリアム宣言を発表後に大幅下落
  • ロシア国債に投資していた多くの投資家に損失を与えた
  • 石油価格の回復で状況は急速に改善する

1998年に起きたロシア危機では、ロシア国債に投資していた投資家に大きな損失を与えた暴落でした。

しかし石油価格の回復により、長引くことなく改善されました。

モラトリアム宣言を発表後に大きく下落しましたが、ロシア危機の原因とはどのようなものだったのでしょうか?

モラトリアム宣言を発表後に大幅下落

1998年当時のロシアでは、石油・ガス・金属・木材などの天然資源に依存しており世界の景気動向に影響されやすい状況でした。

さらに1997年のアジア通貨危機により、主要輸出品の価格が大幅に下落したことでロシア経済が大きく悪化しました。

ロシアがルーブルの切り下げ・民間対外債務を90日間支払猶予(モラトリアム宣言)したことがロシア危機の発生です。

これによりルーブルが急落、対ドル取引の不成立を宣言しました。

ロシア国債に投資していた多くの投資家に損失を与えた

  ドルロシアルーブル 為替
引用元:ファイナンシャルスター

ロシアは1998年8月17日にルーブルの切り下げ(対ドルで約25%)とモラトリアム宣言をしたことにより、1ドル=6.2ルーブルから20ルーブルまで暴落しました。

またLTCMなど大手ヘッジファンドが経営危機に追い込まれたこともあり、ロシア国債に投資していた人に損失を与えることとなったのです。

破綻をきっかけにドル円相場は2日間で14円以上の円高となり、その原因がグローバル・キャリー・トレードの一斉巻き返しが起こったことでした。

石油価格の回復で状況は急速に改善する

危機後のロシアは産業構造自体が破壊されたわけではないため、石油価格の回復により状況は急速に改善されました。

ロシア議会はエフゲニー・プリマコフをキリエンコの後任に選び、1バレル13USドル台まで下落していた石油価格をプラスに持ち直すことができたのです。

2000年10月には高値32USドル台まで回復、旧国営エネルギー会社はロシア財政の収入を支えることとなりました。

【FX暴落・暴騰】2001年米国同時多発テロ

  • 反米を掲げるテロ組織「アルカイダ」によって起こされる
  • 1ドル=120円から115円まで下落する
  • 消費者信頼感・企業の景況感は11月頃から回復する

2001年9月に起きた米国同時多発テロでは、1ドル=120円から115円まで下落するといった大きな変動がありました。

しかし10月頃には消費者信頼感・企業の景況感は回復しだし、11月頃には120円台まで回復したようです。

米国同時多発テロは反米を掲げるテロ組織「アルカイダ」によって起こされましたが、どのようなテロだったのか次の項目で解説します。

反米を掲げるテロ組織「アルカイダ」によって起こされる

米国同時多発テロ
引用元:BUSINESS INSIDER

2001年9月11日に起こった米国同時多発テロは、イスラム原理主義と反米を掲げるテロ組織「アルカイダ」によって起こされたテロ事件です。

9月11日に4機の米国国内線民間飛行機がほぼ同時にハイジャックされ、世界貿易センタービルを始めとした米国の経済・軍事を象徴する建物などに民間飛行機を衝突させるものでした。

その結果、世界貿易センタービル2棟は数分の間に崩れ落ち、合計3062名もの犠牲者を出す形となりました。

1ドル=120円から115円まで下落する

米国同時多発テロチャート

当時のアメリカでは1ドル120円ほどで推移していたが、9月11日の米国同時多発テロにより115円まで下落しました。

しかし米国を守べく米国の通貨当局が米国買いの市場介入に出勤し、続いて日本なども米国買いの市場介入に参入したことでどうにか115円までで下げ止まることが出来ました。

さらに11月頃には120円台まで回復し、さらに相場は上昇していくこととなりますがどのようにして回復していくのでしょうか?

消費者信頼感・企業の景況感は11月頃から回復する

米国同時多発テロによって落ち込んだ消費者信頼感・企業の景況感は、原油価格の安定・財政・金融の政策効果により回復し始めます。

それに加えアフガニスタンでの軍事行動が予想以上に早く収束したことが、回復の早さに繋がったようです。

さらにゼロ金利キャンペーンによる政府支出の拡大・自動車販売の大幅な増加などにより、アメリカの経済成長率はプラスに転じました。

【FX暴落・暴騰】2007年BNPパリバ・ショック

  • サブプライムローン関連の証券化商品のリスクが原因
  • 世界中の金融機関に大きなダメージを与えた
  • BNPパリバ・ショックとリーマン・ショックの関係性

2007年に起きたBNPパリバ・ショックは、世界中の金融機関に大きなダメージを与えた暴落でした。

さらに後に起こるリーマン・ショックは、BNPパリバ・ショックが大きく関係しています

BNPパリバ・ショックが起きた原因はサブプライムローン関連が主ですが、具体的にどのような内容なのでしょうか?次の項目で解説します。

サブプライムローン関連の証券化商品のリスクが原因

BNPパリバ・ショックは、2007年8月に世界規模の金融グループ「BNPパリバ」が引き起こした問題が原因でした。

2002年頃から問題視されていたアメリカ経済が徐々に不況になり、住宅ローンが返済できない人が急増し、負債となって売りに出された住宅に買い手が付かなくなったことが始まりです。

サブプライムローンの支払いの延滞・債務不履行などの問題が発生し、サブプライムローン関連の証券化商品の信用を落としたのです。

さらにBNPパリバ傘下である「ミューチュアル・ファンド」が、投資家からの解約を凍結することを発表しました。

その結果、世界中の投資家からの信用を失い、リスクが高まったなかでパリバ・ショックが発生したのです。

サブプライムローンとは、アメリカの所得や信用度の低い人向けの住宅ローンのことを言います。
住宅や車を担保にし、数年間は固定金利を適用・利息だけの支払いで済む形を取り、借りやすくしていました。

世界中の金融機関に大きなダメージを与えた

BNPパリバ・ショックは株価・通貨に大きな影響をもたらし、為替相場にも大きな影響が出ました。

BNPパリバ・ショックの為替相場への影響
米ドル/円市場 約10円の下落
ユーロ/円市場 約15円の下落
ポンド/円市場 約20円の下落

上記のようにBNPパリバ・ショックでは、為替相場で大幅な下落が発生したため多くの投資家に損失を与えました。

さらに為替市場だけの暴落ではとどまらず、さまざまな分野での資産価格の暴落が発生したのです。

BNPパリバ傘下のファンドは巨大なため、ファンド解約を凍結したことにより世界中の投資家から注目を集め金融不安が広がりました。

BNPパリバ・ショックとリーマン・ショックの関係性

BNPパリバ・ショックとリーマン・ショックは大いに関係性があり、BNPパリバ・ショックによる金融危機が世界中に顧客を持つ「リーマンブラザーズ」に飛び火したことでリーマン・ショックが発生します。

BNPパリバ傘下のファンドによる解約の凍結は、世界中の投資家に不安をもたらします。

その結果、サブプライムローン問題の表面化がリーマンブラザーズに飛び火し、経営破綻に繋がったのです。

ファンドとは投資家から資金を集めてさまざまな投資先に投資することで運用し、資金を大きくしたのちに投資家にリターンするという仕組みのことを指します。

【FX暴落・暴騰】2008年リーマン・ショック

  • 「リーマンブラザーズ」の経営破綻によって発生
  • 米ドル/円は最大37円も下がった
  • リーマン・ショックにより欧州各国に被害が飛び火する

2008年に起きたリーマン・ショックは、米ドル円で最大37円も下落した大きな暴落でした。

さらにリーマン・ショックは欧州各国に被害が飛び火し、多くの投資家に損失を与えました。

リーマン・ショックは「リーマンブラザーズ」の経営破綻により発生しましたが、具体的にどのように発生したのか次の項目で解説します。

「リーマンブラザーズ」の経営破綻によって発生

リーマン・ショックは「リーマンブラザーズ」の経営破綻により発生しますが、きっかけはサブプライムローン問題でした。

BNPパリバから続いていたサブプライムローン問題ですが、サービスを提供していたリーマンブラザーズ社の経営が悪化・倒産したことでリーマンショックが発生します。

リーマンブラザーズは大手の証券会社であったため、アメリカ経済だけでなく世界経済へ影響が出て、不景気が続くきっかけとなりました。

ではリーマン・ショックの影響はどのようなものがあったのでしょうか?

米ドル/円は最大37円も下がった

 リーマンショック

リーマン・ショックによる影響は、為替相場では米ドル/円が37円もの下落したことがありました。

リーマン・ショック以前から一時的に100円を割れる場面もあり、すでに30円程度の一段安となっていました。

それに加えリーマン・ショック後に安値を更新し、2009年1月には87円まで下落し最大37円もの大暴落が起こったのです。

このように世界的に大きな影響をもたらしたことから、「100年に1度の危機」と呼ばれるようになりました。

リーマン・ショックにより欧州各国に被害が飛び火する

リーマン・ショックによる被害は、ヨーロッパに大きな影響を与えます。

はじめにギリシャに深刻な財政赤字や信用不安が発覚し、ギリシャ危機が発生しました。

さらにギリシャ危機がスペイン・ポルトガルなどの多くの欧州各国に飛び火し、欧州債務危機へと繋がってしまうのです。

リーマン・ショック以降の暴落・暴騰については、下記の記事で解説しているのでそちらをご覧ください。

【FX暴落・暴騰】世界的に震撼があったFXの大損事例2010年〜2015年版FX(外国為替証拠金取引)は、さまざまな国同士の通貨を交換しておこなう取引です。 たとえば、USD/JPYは「米国ドルと日本円」で...

まとめ

今回は1998年から2008年までに発生した、暴落・暴騰について解説しました。

1998年に発生したロシア危機では、当時のロシアが天然資源に依存していたことがきっかけに発生した暴落です。

ロシア危機では、ロシア国債に投資していた投資家たちに大きな損失を与えることとなります。

2001年に発生した米国同時多発テロは、合計3062名もの犠牲者を出す大きなテロでした。

1ドル=120円台から115円台まで下落しましたが、米国や日本などが米国買いに市場介入したことで115円まで上げ止めることができました。

2007年に起きたBNPパリバ・ショックは世界中の金融機関に大きなダメージを与えた暴落で、後に起こるリーマン・ショックに関係する暴落です。

BNPパリバ・ショックとリーマン・ショック共にサブプライムローン問題がきっかけとなりました。

リーマン・ショックでは米ドル/円で最大37円もの大暴落が起こったため、多くの投資家に大きな損失を与えました。

このように世界的な経済不況で大きく為替相場が動くため、FX取引を行う際は経済ニュースを見ることが大切になってくるのです。

自身でしっかり情報を入れて、安全に取引を行えるようにしていきましょう。